医療・介護業界について

急激に高齢化が進むニッポン。
そもそも、介護は、古い時代から家庭のなかにあって、家族によって担われてきました。
しかしながら近年では、この介護機能を社会の責任として、社会全体で担っていこうとする動きが活性化してきました。
「介護の社会化」を促した社会的要因には、高齢化率の急速な上昇、女性の社会的進出、核家族化、医療の進歩に伴って疾病の重度化と長期化などがあげられます。

現在は国民の2割以上が65歳以上のお年寄りと言われています。2025年には3人に1人が65歳以上になるという試算もあるほどです。
“高齢社会・日本”の中で、『老後をどうするか』『どんな介護を受けるか』『どこで最期を迎えたいか』という課題やニーズがどんどん深まっています。

『人生の終焉を、どんなふうに過ごしたいか』
高齢になると身体や心の機能が次第に低下していきます。そのため、ちょっとしたきっかけで病気や怪我をして、日常生活を送ることが難しくなる、ということが起こりやすくなります。また、活動が困難になることで社会との接点が徐々に少なくなっていったり、自分の周りの人間(配偶者や友人知人)との離別があったり…今まで築き上げていた「自分の世界」「自分の居場所」が、歳を重ねるごとにだんだんと変わっていくのも事実です。
それでも、自らが望む環境で生活を続けたい、生きがいのある人生を送りたいと思うのは誰しもが思うこと。
“からだ”や“こころ”を支えるだけでなく、“住まい”や“生きがい”にも着目する…介護・福祉に求められているものは、とても広く、深いものだと考えています。

『人生の終焉を、どんなふうに過ごしたいか』
介護を必要としている人は、私たちが日常なんの苦もなく行っていることが困難と感じています。病気や障害により、うまく話せなかったり体が動かせなかったり、寝たきりになったり…。そうなると、誰かの助けが必要になります。
適切な技術や必要な知識をもとに、私たち介護者は助けを必要としている方々をサポートします。

かといって、なんでもかんでも手を貸して助けたらいいかと言えばそうではなく、介護の仕事は本人のもつ能力を積極的に活用し、可能な限り自立できるように援助することが原則です。
そしてもっと大切なのは、助けが必要だとしても、その人の『人間としての尊厳』をちゃんと守ること。高齢者が安心して暮らせる環境を作ることを念頭に手助けを行うことが重要なのです。
人々が日々の暮らしの中において「その人らしく」生きることが、病気や障害、高齢のために達成できなくなってしまうことのないように援助することが介護なのです。
「その人らしく」生きるとは、それまでに培われてきた生活習慣を日常生活場面において支障なく成し遂げることです。その中には精神的な満足度や価値観の尊重、社会参加なども含まれます。

「介護の仕事」を決して固定化・形骸化・陳腐化させないために
時代や社会はどんどんと変化し、「幸せな暮らしとは何か」という物差しも、十年単位で変化していっています。
お客様の“人生の幕引き”の舞台をより素晴らしくするために、私たち介護者はどんなふうに関わっていけばいいか…。常に模索し、探求し、実践しているのです。
「これでいい」という固定観念やマニュアル重視の仕事にとらわれないよう、いつも現場で働きながら、「より良い介護サービスとは何か」を考え続けています。